先月の仕事

今からもう11年近く前、福島県の旧館岩村のオグラさんでヤマザクラの原木を購入した。
曲がりと少しねじれのある、直径も45センチほどの小ぶりな丸太。
製材機に入れる前にどの方向から挽いていくか、手術台に載せられたような丸太をゴロゴロと転がしながら、右から左から曲がりの向きや節の有無、木口割れの入り方をじっくりと観察する。
個人工房のような少量しか買わないお客でも、ものづくりに理解のある材木屋さんなので足蹴にされないのは本当にありがたい。

9分(27ミリくらい)ほど挽いて、まず白太。
帯鋸で挽くたびに表情を変えてゆく木目に一喜一憂しながら、大型機械を操るハンドルマンに厚みの指示をお願いします。
丸太自体の太さがないとはいえ、テーブルや箱ものの天板にできるようなきれいな木目の板がほしいと神頼みするような気持ちになる。

ひととおり製材を終えたところ。
水分を含んでいるので、薄っぺらい板のように見えるが、実はどれもずっしりと重い。

天然乾燥のあいだに樹皮や白太の部分はテッポウムシと呼ばれる小さなカミキリ虫の幼虫に最終的に食われる運命にあるのだが、被害を最小限に食い止めるためにも樹皮は必ず取り去らなくてはならない。
工芸やハンドクラフトと呼ばれるものづくりの命でもある材料がどこから来るのか(特に木工は素材がそのまま仕上げになるジャンル)斧を担いで山に入ることは出来ないにしても、できるだけ上流に遡ってみる必要は大いにあると考えている。

このあと木材割れ止め防止塗料、ランバーメイトを木口と板の真ん中に塗り、風が抜けるようにきれいに桟積みして、天然乾燥で4年、その後人工乾燥機に入れてから工房まで送ってもらい、さらに6年保管した。
ふう、気が長いなあ。
どんなものになるのか、あるいはどんなものにするのか全く決まっていない状態の材料をストックするのは、木工ほんらいのあり方であり、かくいう自分もそんな風にしながら木工という仕事が続けられたらと願うばかりであるが、とにかく仕事に余裕がないと出来ない事である。
贅沢な願いだろうか、それとも単なるわがままだろうか。

昨年に制作依頼を受けて、ああそうだ、あの材料があったと在庫をひっくりかえして、ギリギリの幅で板が取れそうなことが判明し、今回サイドボードの制作をした。

近頃の仕事としてホームページにもアップしました。

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