美術館に行くのが趣味ってわけではないのですが、
やはり気になってしまうわけです。
あ!あの人があんなところで展示してる、とか。
へえ、なんだかおもしろそう、だとか。
夏休みの子供向け企画はどんなのかしらん、とか。
結局のところ、自分と同じ生身の人間がギリギリのところで何かを表現している情熱の飛沫をビシビシと感じたい!美しいものに触れたい!という、単純な気持ちで美術館に行くだけなのかもしれません。
というわけで、行って参りました「須田悦弘展」
千葉市美術館は初めて行きました。
結論から言うと、とにかく作品は相変わらず素晴らしいし、同時開催の「須田悦弘による江戸の美」も、美術館におとなしく収められがちな古美術と現代の作品がコラボレーションすることで、生々しいくらい新鮮なものに変貌していて非常におもしろかったです。
しかし、しかしですよ。
いやー、もう何て言ったらいいのでしょう。
これが連休明けの平日だったら、あるいはよかったのかもしれません。
よく言われるように「見せ方も作品のうち」だとしても、ちょっと限界があるかなぁ、、、と考えてしまう。
作品が作品だけに仕方ないと思ってはみるものの、どうしたらいいんだろう?
と、一方では考えてしまう。
つまりですね、、、
作品を見ようと美術館に行き、上着もロッカーに預け、心なしか気分も軽やかに受付でチケットをもぎってもらい「さて見るかな」というワクワク感で展示室に入るやいなや、ずらーっと人が長蛇の列を成していて、えっ?これじゃあまるで舞浜のネズミ王国ランドのアトラクション待ちと同じじゃないか!という状況になっているのです。
地方の美術館にあるまじき異様な光景です。
なんと最初の作品を見るまでに20分以上列びましたよ。
想像してみてくだい。
小学校の体育館に、ルンペンのおじさんがつくったような段ボールハウスがポン、ポン、ポンと三つ置いてある。その中に潜り込んで中にある作品を見ることが出来るのはたった一人だけ。
しかも自分の順番が回ってきたら作品を見る前にケータイカメラで撮っている女子も大勢いるせいで、余計に時間がかかる。
それじゃあ列びますよね。
おまけに僕のすぐ後ろでブツブツ文句を言っていたおじさんが美術館の女性係員にもうちょっと詰めて下さいと言われたとたん、待たされていることの不満をねちっこくイヤミ増し増しでその女性に言ったりして、平常心を保ってゆっくり鑑賞どころではなかったです。
僕自身も辛抱強く列んでいざ自分の順番が回ってきたとしても、後ろにあれだけ人が列をなして待っていたら気になって集中できない。
特に展示の前半はそんなかんじだったので、何ともすっきりしない展示だったのです。
絵を見に行ったのに人を見に行ったとはよく言ったものだ。
とはいえ、、、
不況だ、不況だといわれる時代にあっても、美術館で作品を展示できる現代の作家がいて、それをわざわざ見に来る人がたくさんいるなんて、素晴らしいじゃないか。
お腹が満たされるわけでもない美術なんて真っ先に見捨てられる状況において、何より救いがあるじゃないか。
当たり前だけど、世の中銭金ばかりじゃないんだ。
と、結局のところ僕はそんな風に思うのです。

図録をみてビックリしたのですが、掲載されている写真のほとんどは作者本人が撮影しているとのこと。
すごい!これはもうプロの域です!