帯状疱疹、その後

わりと早めに抗ウイルス薬を飲み始めていたにもかかわらず、背中のちょっとした虫刺されのような発疹からあっという間に手のひらをいっぱいに広げた大きさになり、それからどういうわけか右側に勢力を拡大して脇腹へと進み、四、五日後にはなんと「みぞおち」にまで達し!右半分の胴体部分は大きなサメに何度も噛み付かれたような状態になってしまった。
最初はまだ我慢できるほどの痛みで、病気になったことを言い訳にして開き直って本など読んでいた。

ところが、診察から10日ほど経過したあたりだろうか、火傷した時の皮膚がヒリヒリする痛みと、何か鋭利なもので刺すような神経痛がいよいよ激しくなり、右腕を動かすたびに背中がもう痛くて痛くて、処方してもらった疼痛時に服用するカロナール錠を飲んでも全く効き目がなかった。そのうち発疹の終着点である胸部からの神経痛も始まり、背中、胸、ヒリヒリ、背中、痛い、、、。
一日中ひっきりなしで襲う痛みに何もできなくて、泣きつくように黒縁メガネの女医さんのもとへ駆け込み、トラムセット配合錠(強い痛み止め)を処方してもらったのだが、これがおそらく合わなかった。
オピオイドという麻薬の成分が入っている薬らしいのですが、痛みが本当に緩和されているのか、もしくはプラシーボ効果で効いているつもりになっているのか、イマイチよくわからない感じで、そのうち胃腸や内臓も弱って食欲もすっかりなくなり、食べていないのに吐き気まで催すようになり、命を落とす重篤な病気を疑うようになってしまった。
帯状疱疹はその不吉な前触れに過ぎないのではないかと。

この頃は気持ちも落ち込んで自信もなくし、今更ながら病室で過ごす人の気持ちもわかるようになり、まあとにかく痛くて何をするのも億劫で起きている時間よりも寝ている時間の方が長かった。
幸い6月は天気も良くて明るく過ごしやすかったせいで、超スローぺースでやりながらもどうにか生き延びることができ、ありがたいことに注文の座卓が出来上がっていないことを説明すると、現金で前払いしてくださった方もいた。なんといってもしんどい痛みよりも自分の気持ちが後ろ向きになるのが一番辛かったかもしれません。

日にち薬なんて言葉があるけれど、散々悩まされ続けたしつこい神経痛も、ひと月以上経過した今ではほどんどなくなり、散発的に思い出したように背中が痛むと、
ああ、そういえばこんな痛みだったな、、、。
と、一生に一度だけと言われる病気だけに、今は懐かしいような愛おしいような気持ちになる。
けっきょく、過労とかストレスとか頑張りすぎが原因らしいけれど、そんなこと言っても頑張らなきゃ仕方ないだろと思う気持ちに何ら変わりはなく、自分の人生を諦めるわけじゃないけれど、精一杯やった先に何か大きな障害が待ち受けていたとしても、こればっかりはもう仕方ないと思う。

なにはともあれ、、、自分が思っているほど人は自分のことを思っていないとわかっているものの、心配して連絡をくれる方が何人もいました。
目覚ましい回復とは決して言える状態ではありませんが、少しは元気になってます。

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5月もおしまい

昨日あたりからだろうか、背中に虫でも刺されたかなと思い、大して気にもせずいつも通りに過ごしていた。
ところが夜になってもピリピリとした痛みが続くので、おかしいなと思ってTシャツを脱ぎ、背中を鏡に向けて見てみると、右肩甲骨の下の方に二、三箇所赤い発疹ができている。
いやだなあ、寝ている間にムカデにでも噛まれたかなと頭をよぎったのだが、今まで体験したことがないような痛みの種類ではある。
深刻に考えずにその日は寝て、今朝になって起きてみたのだが、相変わらず痛い。
例えようがないのですが、間欠的に神経を刺すような痛みもある。
早速タウンページをめくり、皮膚科がある一番近い病院へ電話をし、幸い午前10時に11番目で予約が取れ、車で病院へ向かう。

しばらく待っていざ診察室に入ると、座っていたのはウェリントン黒縁メガネをかけた真っ黒髪の若い女の先生だった。
多少うろたえてはみたものの、気を取り直して服を脱いで背中を見てもらうと、帯状疱疹だと言われ、最近疲れてますか?と聞かれる。

たいじょうほうしん、、、。
確かに疲れてる、、、。

こちらはムカデ用の塗り薬でも貰おうと考えていたのだが、これは立派な病気である。
よく聞くと過労が原因のようですが、まあ結局のところトシですかね。
気持ちよりもカラダは正直で、生きてきた年数のぶん、着実に肉体は歳を重ねているのです。

ペコっと頭を下げて診察室を出て、会計も済ませて病院のすぐ向かいにある調剤薬局へ行き、受付で処方箋を渡してしばらく腰掛けて待つ。
やがて白衣を着たジャスティン・ビーバーのようなモップヘアーのおばさんから大きな声で名前を呼ばれ、薬局内に響き渡る大きな声でくすりの説明をされて、俺だってまだ羞恥心というものがあるんだ!と言いたいところをグッとこらえて、最後に「とにかく、休養してください!」とさらに大きな声で念を押される。
保険がなかったら毎食後に532円もかかる高価な錠剤(バラシクロビル錠500mg)を5日ぶん渡された。
保険証にジェネリック医薬品を希望しますとシールを貼っているのに、ぜんぜんお財布に優しくない。
そういえば、アルバイトをしていた時に接待で来店していた製薬会社の人達は、スーツの着こなしや身なりも随分と良かったなあ、とぼんやり思い出す。

いやー、なんだかんだ言いながらも、相変わらず元気といえば元気ですが、手を止めたら墜落するだけの文字どおりの「ものづくり」の仕事を考えると、やっぱり心細くなってしまいます。
気合いと精神論だけで前のめりで走ってきたやり方を、遅ればせながらそろそろ考え直す時期が来ているのかもしれません。

野うさぎちゃん

夜も更けて一日もすっかり終わり、さてもう寝るかと布団に入ってしばらくすると、
突然二匹のケモノが激しくいさかい合い、地面をのたうち回る音に目が覚めることがある。
しばらく声を荒げて争ったのちに、どちらか一方が断末魔の叫びを何度か発したのち、あたりは何事もなかったようにシンと静寂になる。

おいおい、ワイルド過ぎるだろ。
何だよ、、、今の声。

と、こんなことが日常的にあります。
仕事場の周囲には原野が広がっていて、たぬきやヘビが闊歩する田舎なのですが、ひょっとしてあの声はうさぎちゃん?
うさぎを仕留められるより大きな野生動物って、何だ?

日が落ちて暗くなりかけた頃に、スイバの柔らかい茎の部分を夢中で食べているところ。
面白がって近づこうとすると、一目散に逃げてゆく。

ウォールナット、雑感

ほんとにもう、色味も木目もバラバラだな、、、。
挽き板づくりを終えて、一度並べてみる。

仕事を終えて掃除にかかると、あたりは盛大にココアパウダーを撒き散らしたような全てがウォールナット色になっている。
削っている時の独特の甘いような香りも、果たして何と形容したらいいものか。
学生時代に初めて見た時、こんな色味の木があるのかと知り、こんな香りがするのかと驚き、20年以上経った今ではもうすっかり見慣れて嗅ぎ慣れて、あの時の新鮮な気持ちはない。
むしろ今となっては、色味も珍しい材だし、しかも加工が容易で、極めつけは単価が高いので木工を始めたばかりの人がすぐにお客さんに売りたがる傾向が散見している樹種なので、
「なんか嫌だな、、」と感じているフシがある。

材料そのもに全く罪はなく、家具用材としてはもう出来過ぎなくらいの優良材で、かの有名なジョージ・ナカシマの一連の家具は、ウォールナットの材そのものの美しさに支えられている部分が大いにあると感じているのですが、まあつくづく自分は素直じゃないと思う。

とにかく、一生懸命つくろう。
ほんものの素材を一から加工できる喜びに改めて感謝して、精一杯やろう。

気が遠くなるような仕事が、わりと続きます。

ハイスツール

クサビを入れる時。

気づけばだんだん日が長くなってきました。
六月の夏至まであと3ヶ月くらいでしょうか。

座面の稜線をパキっとさせてみた。
ひとりよがりか自己満足か、無理にカタチを捏ねくり回していた時も長かったですが、
今は「これでいいのだ」と思えています。

シンプルすぎる?
それでいいのだ。