見通しが良くなるように

初めて老眼鏡を手にしてから2年が経過し、それ以来崖から転げ落ちるように一気に老眼が進んだと感じているのですが、そのうちメガネも三つに増えた。
一番最初につくった眼鏡は仕事用と割り切って、細かい加工の時など調子良く使っていたのだが、いかんせん人生最初の眼鏡だったせいで後々いろいろと気づくことがあり、なんといっても一番の問題点はデリケート過ぎるフレーム形状だった。
というのも、テンプル『つる』の部分があまりにも細すぎて、当然の帰結としてヒンジ部分も小さくなってくるのだが、仕事中はいい加減に扱っているせいかヒンジ部分がまず壊れた。

ノギスで測るとテンプル部分の幅はわずか3ミリしかない。

ニコン・エシロールのレンズ自体はとても良いのだが、、、

修理から上がってきたヒンジはレーザー溶接された新しいものだった。
3ミリ幅で蝶番を溶接するなんて、果たしてこれは職人技なのだろうか、もしくは機械の仕事なのだろうか?

もう一つ気になった点はノーズパットの形状で、遠くを見る際にメガネを頭の上に乗っけた時、ほぼ間違いなく髪の毛がノーズパットに引っ掛かるのである。
再び近くを見ようと眼鏡を戻す時、ノーズパットに髪の毛が1、2本挟まっていて引っ張ると痛くてイライラする。
この形状のノーズパットは仕事用としては不向きと気づき、フレームと一体型になっているものを探し、近所のショッピングモール内にあるZoffの「吊るし」の老眼鏡を買った。

もっと刃先を見たい時があるので、度数を一段階上げて+2.0にしたら、こんどは裸眼の時との落差があり過ぎて、眼鏡を外すと1メートル先もぼんやりして見えないような状態になるので、あまり手が伸びなくなった。

次は度数を一段階落として、ドイツ製の廉価版眼鏡を買ったのだが、今度はレンズがおもちゃみたいなプラスチックの質感で、その質の悪さが眼球から伝わってくるようで、かけ心地というより見え心地が常に気になり頻繁に洗ったり拭いたりする始末である。

眼鏡ストラップは洗濯ができる木綿のものが気に入っている。

今年も老眼鏡の迷走は続きそうだけれど、できれば良い眼鏡を新調したい。

新調といえば、追い入れ鑿を新調した。
仕事すればするほど、研いでは使って研いでは使ってどんどん短くチビていく道具。
つくってくれる鍛冶屋さんも減り、あの人か、この人かくらいになっている。

鑿箱も新調しようと木取りも済ませて、部材の加工に入ったまま中途半端になっている。
自分の道具を整えている時間がないのです。

カエデの柾目のいいとこ取りでつくろうとしているが、果たしていつ完成することやら。

以前、工房の外にFMアンテナを立ててラジオをずっと聞いていたのですが、それがいつの頃からかインターネットのradikoでラジオを聴くようになり、ipodからアンプに繋いでスピーカーに出力していて、一日中電源を繋ぎっぱなしでラジコやスポティファイを聞いていたせいか、ipodのバッテリーが膨張してきて(そもそも使い方を間違っている)、他の方法を考えていた。

ハードに使い過ぎてホームボタンもパンツがずり落ちたようになってしまった。

今はipodの代わりにアマゾンのエコーフレックスでラジコをつけている。
もう発売しないのだろうか、とても気に入っている。
3.5ミリのミニプラグから出力なんてオーディオマニアの人から見れば完全に子供騙しです。

古いミニコンポで20年使っているアンプにエコーからRCAケーブルで入力している。CDプレーヤーは一度修理したものの、木ぼこりのせいでいつも挙動不審。

ブックシェルフサイズの小さなスピーカーに繋ぎラジコをいつも聴いている。

仕事のことを少し。
昨年の5月に頂いた仕事。泣く泣く断った仕事もあるくらい、いろいろと声をかけていただき、2021年元旦まだ完成しておりません。
これから引き戸を塗装して組み立てて、脚部の加工と旋盤、貫を組み立てれば完成です。

かまちに組む引き戸の鏡板が幅広なので、上桟、下桟に突いた小穴の真ん中にさらにほぞ穴を開けて、ほぞ付きの鏡板にします。

ヤマザクラ材、堅過ぎずやわらか過ぎず、カンナで削ると甘い香りがします。

8月になってしまった。

3月末から木取りを始めた仕事もいよいよ大詰め。
同時多発的にいろんなことをしながら、やること盛り沢山の仕事でもいっこうに手が進まず、お客様に対して申し訳ない限りです。

引き出し前板の裏側。
底板用の小穴はカッターで落としきれない部分があるので最後は鑿で仕上げます。

引き出しの側板

箱物は小さくても大きくてもやっぱり部材が多い。

接着。
前板に傷がつかないように、厚紙を貼り付けた当て木をマスキングテープでクランプに留めている。

接着の待ち時間に鍵加工を試してみる。
一発勝負なので、何度も治具を調整してから本番に臨む。

皿ネジで止める際は注意しないとヌルっとズレたりする。
慎重に下穴をあけよう。

45度のトメ加工は難しい

接着のために、小さな馬(sawhorses木挽き台)もつくった。

横倒しにして側板の仮組み。
棚板に少し縦反りが出ているので、タテヨコでクランプを使う。

側板、天板部分の接着はクランプが大渋滞して、いちばん力を加えたい仕口部分を締められない。
実際に制作するにあたり、肝心の問題に直面するまでは難しいだろうなとボンヤリ思うだけで、事前に綿密な計画など立てていないことが案外多い。

こうなったら最後の手段だ。
当て木をじかにボンドで接着して、その当て木ごと締めてしまう計画だ。

常識外れの非常手段だろうか、もしくは板材45度留め加工接着時の新定跡だろうか。
仕上げたはずの側板、天板に接着した当て木を後からFクランプで圧締するなんて、、、。
これなら正確に加工した45度部分を間違いなく確実に締め込むことが可能だ。
本来の接着が終われば、役目を終えた当て木がくっついたままなので、時間はかかるが縦挽き鋸と鉋を使い元どおりに仕上げることになる。

仮組み。
狭い工房内での接着は危険がいっぱい。

接着へ

なるべくサンドペーパーを使わずに仕上げるように心がけていますが、2Rボーズ面を均一に仕上げるには電動工具でかたちをつくり、最後は#320のサンドペーパーで滑らかにします。

サンドペーパーの当て木もいろいろ。
青いポリスチレンを貼ったものがふんわり仕上げ用。コルクラバーを貼ったもの、カツラ、右下にある硬いサクラはあまり手が伸びません。

いちばん手が伸びないのがサドルレザーを貼ったのもの。
つるつる滑る感覚と、ぼんやりした抵抗感がそうさせるのでしょうか。

サンドパーパーをサッとかけたら接着。
プラスチックのヘラにウエスを巻きつけて、はみ出たボンドを拭きます。

細かい話ですが、タテヨコふたつの部材が組み合わさった時の位置関係にいつも注意しています。

ストレートエッジを当てて、平面を確認。

留め加工

見たことのない仕口だ。
雇いの石畳留め継ぎとでも呼べばいいのだろうか。
つくるものの大きさや構造、強度に精度、どこまで機械でやるか、どこまで手工具でやるか。
時間をかけてばかりもいられない、しかし、後からみすぼらしくなるような仕事もしたくない。
出来ることと出来ないことがある葛藤の中で、最善を尽くしたい。

仮組み。

鉛筆で当たっているところを印づける。

反対側も。

このわずかな隙間から、果たしてどこまで追い込めるか。