
薄く尖らせた鉛筆の墨線を見ながら、鋸で慎重に組み手を刻んでいく。
勢い余ってオーバーランすることなど許されないので、念のため鋸目がどこまで進んだのかひと目でわかる当て木をしている。

その後は角のみという機械で大まかに荒堀りする。

ハンドカットならではのレイアウト、端はより細かく、真ん中はすこしゆったり。
無垢の板は端から反ってくるので、組み手を細かくすれば接着面積もより多くなり、強固な接合になる。木の動きと特性を考慮した自然なレイアウトだ。
機械では落としきれなかった隅はしのぎ鑿で仕上げていく。

仮組みの段階では鉛筆であたりをつけながら微調整する。
堅すぎず、緩すぎず、何度も何度も組み立て調子を確認しながら、少しずつ削っていく。鋭利になった角の部分は、組み立てるまで全く気が抜けない。

春みたいな陽気もだんだん感じられてきて、水鳥のオオバン達もぼちぼち活動的になり鳴き声も賑やかになってきた。

やかんに西日が差し込む。
一日があっという間に過ぎてゆく。

すっかり夜も更けて、仮組みを繰り返したのち接着の準備。
緊張の瞬間だ。

直角を確認してこの状態で一晩置いておく。
ホゾ穴の中に溜まったボンドは一晩では乾いてくれない。

そして翌日になり、再び仮組みをして、細かいところを直したり、クランプを用意したり、当て木を変更したり、気づいたら夜も更けて残りの天板を接着。
はみ出したボンドを拭き取り、一息ついた頃は日付が変わっていることもしばしば。