
村上さんの書斎がある地下1階から眺めるポケットパーク。
いわゆるサンクンガーデンだ。真ん中のシンボルツリーは、、、

里の桜だからサトザクラ?

お手洗いの案内サイン。

1階に上がってエントランスに戻るとジャズが流れるオーディオルーム。

ハンス・ウェグナー、GE-290。
座面の構造がそのまま後脚になるかたちを初めて見たときは目からウロコだった。

ボーエ・モーエセン。

ハンス・ウェグナー、ベッドにもなるソファーはデイベッド。
全体のボリューム感と比べると脚部がいかにも貧弱すぎる気がするけれど、おそらく釈迦に説法だろうか。

こちらもハンス・ウェグナー。
なかなかお目にかかれない貴重な家具はかごの部分が引き出しになっている、ソーイング用のテーブル。

吹き抜け階段の反対側はギャラリーラウンジ。

この椅子もおもしろい。
構造の仕掛けを座面で覆い被すようなマシンメイドのかたち。
西洋人向けか、あるいは標準的な座面高さのせいで僕のような脚の短い人間には太ももの裏が圧迫されてキツい。

羊男とスワンチェア。

2階はラボと展示室、音声を収録・配信できそうなスタジオもある。

床はゆったりとした幅のレッドオーク白太あり。
全フロアの床を張るだけでも大変な仕事です。

イタリア、アルペール社、Juno02。屋外のテラスでも使えるスタッキングチェア。素材の特性を生かしたカッコいいかたちだけれど、持ち上げてみると重さにびっくりする。無垢のポリだから7〜8キロはあるだろうか、地球環境を考えて脱プラが叫ばれる近年の風潮において何の悪びれもなく堂々とプラスチックの新作を発表する揺るぎない信念は、人間の欲望や強さを感じる。

ガラス扉に取り付けられた引き手は珍しいオリーブ材。



結局、一冊の本すら手に取ることもなく、文学館をあとにする。
置かれた家具や空間を見ることに忙しくて、とても読書どころではなかった。
やはり感じるのは、早稲田の学生は恵まれている。
こんなこと比較してもしょうがないし、オックスフォードの方がいいとかキリがないのはわかっているけれど、大学内の施設という共通の点において、自分の出身校をついつい引き合いに出して考えてしまう。休日ということもあってか、学生はほとんどいなかったことを差し引いたとしても、こんなにゆったりとした贅沢な場所が果たして我が母校にあっただろうか。
美術だから全く別ジャンルの別分野とはいえ、同じ人間の尊厳というか何というか、、、。

青々とした銀杏の木々。
秋もいよいよ深まり、黄金色に輝くイチョウ並木の下を歩く若い学生たちを想像してみる。
それぞの学生やそれぞれのOBにとって、仲間や友達、あるいは恋人と一緒に見たまばゆいキャンパスの景色が、青春の記憶の一部となって一人ひとりの心に刻まれていると思うと、なんだかとても穏やかな気持ちになってくる。