ウォールナット、再び

写真は昨年末にお客様のもとへお届けした、二枚ハギのウォールナットのテーブル用材料。
太い丸太を製材して、二枚の板をあたかも本を開くようなかたちで板を合わせることをブックマッチと呼ぶのですが、多少の節とうねりこそあれブックマッチで贅沢に仕上げた天板になった。
頑張った甲斐があってとても気に入っていただき、年明けにもうひとつ注文を頂いた。

制作途中の様子。
既存脚部との関係で反り止めの桟が内側に寄り、しかも短くなってしまうので、普段あまりやらない寄せ蟻にした。

はぎ合わせの桟。
たかだか5センチほどしか叩けないし、木が柔らかいこともあって勾配はつけずにストレートで入れた。

傷つかないように当て木をして、重い玄翁で少しずつ叩いて任意の位置まで追い込みます。

塗装してみる。
見ての通り、前回の板と比べると、節やら割れやら芯やら白太やら、もうこれ以上ないくらい木の表情がてんこ盛りになっています。
向かって右側の板に中央付近まで埋め木がしてあるのが確認できるでしょうか。
そうです、割れていたのです。

肝心のオモテの様子。
今回は板があまり良くないことを承知していただいたものの、ゴジラかキングギドラが火を噴いたようなワイルドすぎる木目で、しかも共木の板とはいえ芯持ち割れすぎの板でなかなか手ごわい仕事でありました。
ブックマッチにするとあまりにも木目のバランスが悪く、あえてそれを避けて矧ぎ合わせた。

向かって左側の板は特に芯割れがひどく、切り落とした端材からもわかるように、すがすがしいほどの状況でした。

割れを修正した箇所、木口の処理。
まず天板の裏側に深く埋め木をして、その後木口をあらためて埋め木してから表を三分の一ほど埋め木した。
木目も合わせようと試みるが、やはり見れば気づく。

高分子イソシアネート系という白い接着剤を使うのですが、ウォールナットくらい色味の濃い樹種は木口の導管に入り込んだボンドが塗装をしたあとでうっすらと浮かび上がってきます。
どうしたって何をしたって入り込んでしまうので、いっそボンド自体に何か着色して色をなじませた方が目立たなかったと思います。

チギリ三連発。
深さは14ミリほどの浅いもので、大きな穴を隠すいわば飾りの化粧です。

やわらかいウォールナットで良かった。
輸入材を扱うことの是非もあるけれど、はるばる自分の手元にやってきた材料くらいは、せめて無駄死にさせることがないようにといつも心がけている。

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苗の選び方が問題だ

今から6年前に出会った、雪に埋もれようが霜にあたろうが全くビクともしない丈夫なお花で、冬枯れの小さな庭に彩りを与えてくれるクリスマスローズがすっかり気に入り、勢いづいて追加で苗を買ったりした。

今から三年前の様子。
ポット苗から鉢に植え替えた時の姿をあらためて見返してみると、失敗したなぁとつくづく思う。
細い葉っぱがあちこちからヒョロヒョロ伸びて、いかにも花つきの悪そうな苗を選んでいる。


それから三年経過した姿がこれ。
貧弱な新芽が気まぐれに出たり枯れたりする状態が長く続いて、一向に成長しない株に一度は諦めて捨てようとも思ったが、今シーズンを迎えてようやく花芽が付いた。

丈夫な植物とはいえ、土も肥料も水やりも日当たりも植え替えも、なんとなく気にかけながら三年も面倒をみてるんだから、もっと力強くニョキッっと花茎が伸びて、ゆったりカラフルな花がたくさん咲いて欲しいのだが、お店に並んでいる苗にも当たりハズレがあることを学んだ。
まあ花が咲くことだけが植物ではないけれど、咲かなければ咲かないでモヤモヤするのは、どこかで期待する気持ちや見返りのようなものを求めているからだろうか。

前回の教訓を生かすべく、今年は椰子の木のような力強い姿のものを厳選してみるものの、大丈夫かなと一抹の不安はある。
シングルでもダブルでも何でもいいから、妖しい黒い花が咲いて欲しいと勝手に思っている。

椅子の修理

この写真だけを見て、あっ!あの椅子だ!とわかる人は果たしてどのくらいいるのでしょうか?

美しく接合された笠木とアームの部分が壊れてしまって、再び座れるように修理をするのですが、、、

比較的ねばりのあるナラの木ですが、何十年も経過すると樹脂分が抜けてくるといいますが、脂っ気がなくなるといいますが、素材自体にも寿命があることを教えてくれます。
それにしても無理のある木取りだよな。
繊維も完全に切れてるし、ほとんど木口です。

頑張って接着して、ペーパーをかけて目違いをはらう。

なるべく原型を崩さないように当て木を選んで慎重に作業を進める。

椅子の内側には英語で刻印がされていて、ヨハネス・ハンセン、コペンハーゲン、デンマーク。

クリアラッカーかな?こってりとした塗装が適当にしてあります。
見えない所は見えないという割り切りでしょうか。
見えない所といえばもう一つ。

座面を木ネジで留める金物はなんと、丸ヒートン!
常識にとらわれない柔らかい発想で目からウロコが落ちました。

張り地の仕上げはとても丁寧。
ちなみに座面は約1000Rで思いのほかきついアール。ビーチのロータリー突き板ベニヤです。

出来上がり。
皮の座面も着色し直して、色止めして仕上げました。

ちょうど70年前にデザインされた椅子。
今はPPモブラーという会社で制作されていて、現在でも購入可能です。
すばらしいですね。
デザイナーは一体誰なんですか?

チップソーは研磨してもらいます。

漫画のような刃物ですが、まごうことなきリアルな現実です。
大きな力で高速回転して、硬い木材を切り裂いていきます。
怪我をするとしたら、まあ多分これだよな〜といつも思っている。

変則的な取り付け方をしてますが、これも研磨してもらいます。
余談ですが、むき出しのベアリングってやつはすぐに木屑が詰まって動きが悪くなるので、日々闘いです。

慎重に刃物を外して、、、

大きいものやら、小さいものまで、合わせて五枚ぶん研磨してもらいます。
ジョインター刃に関しては自分で研磨してますが、チップソーは専門の方に研磨してもらいます。
刃先が欠けた場合、ものによっては一枚4000円近くするので、いい加減な気持ちで扱うことが少なくなりました。
何でも自己責任なんです。

美術というヘンな意識を捨てて、銭勘定をマッチョに鍛えよう

一枚板のねじれを取る五寸幅の大きなプレーナーが欲しい。
二寸二分の板をらくらく切断できる大きな丸ノコが欲しい。

いつも同じものをつくっているわけではないので、新しい仕事のたびに新しい道具が必要になってくる。
これは必要だからとやみくもに設備や道具を充実させてゆけば、明日を生きていくためのパンが買えなくなることを学んだのはつい最近の話。

必要最低限の道具がなければカタチに出来ないし、そこに何の価値も生まれないのだが、このごろは本当に必要な道具なのか?これから先もずっと使っていく見込みのある道具なのか?と自分に問いかけて、新しい道具を買い足したい気持ちにブレーキをかけるようになった。
いい歳して呆れるくらい簡単なことに今更気づいたということでしょうか。
それに自分は美術をやっているというヘンな意識が根強くあり、ビジネスとしての銭勘定をマッチョに鍛えていかないと、この先の明るい未来はない。

82ミリのプレーナーで十分じゃないか。
効率よくムラ取る方法を工夫しよう。
一枚板の加工なんて、何度もするものじゃない。
普通の丸ノコを工夫して、木口かんなで仕上げよう。